【注意点】
マインドセット編では、具体的な技術論には触れておりません。
アルペンスキーでは、タイムという定量的かつ絶対的な基準が存在するため、滑りの「型」に統一された正解はないと考えています。
その為、「あらゆる技術論の指導」のもとで応用できる知識や考え方を出来る限り客観的に解説する事をこの記事では重視しています。
周りの友人は夏の間に海外で滑っていて焦る!
果たして自分も行くべき?
行く場合の方法や注意点は?
以上のような、お悩みを解決します
本記事の内容
- アルペンスキーの海外遠征について
- 海外遠征のメリット/デメリット
- 海外遠征のポイント/注意点
- 海外遠征の必要性
アルペンスキーにおける海外遠征とは?
もっと滑りたい!!と思った事がきっとあるアルペンスキーヤ―の皆さん!
もしかしたら皆さんの周りには、オフシーズン中に海外へ滑りに行っている選手がいるかもしれません。
また、プロ選手がワールドカップやヨーロッパカップなど海外のFISレースに出場している事を見かけるかもしれません。
当たり前の事ですが、アルペンスキーは日本国外でも行うことが出来ます。
日本が夏の間は、ニュージーランドなどの南半球では冬にあたります!
また、標高が非常に高い場所に位置していることや、氷河の上にスキー場があることから、夏であろうと滑る事が出来るスキー場も存在します!
海外遠征の目的
アルペンスキーヤ―が海外遠征に赴く目的としては、大きく分けて二つあると思います。
一つ目はレースに出場する為です。
ワールドカップやオリンピックを目指す選手は、FISポイントを更新する為にレースに出場する事が求められます。
国別選手権や大陸別選手権など、レースのレベルが上がるにつれて、より「良い」ポイントを獲得しやすくなります。
様々な理由から、選手は日本国内のFISレースに留まらず、国外のFISレースに出場しに行く事が求められます。
南半球のレースは日本の夏の期間に開催されるので、純粋に合計で出場するレースの数(試行回数)を増やす為に夏のレースに出場する選手もいますね!
二つ目は練習を行う為です。
学生で夏休みというまとまった長期休暇があり、その期間に滑りたい選手もいれば、一年中雪上に立ち続ける為に海外に赴くプロ選手もいます。
海外のスキー場の多くは斜面が氷なので、海外のレースで結果を残す為に、レースと同じ環境で練習したいと考える選手もいますね!
中にはこの二つの目的を両方達成する為に海外遠征を組む人もいますね!
遠征先の国で練習しながら、レースにも出るといった感じです。
特にFISポイントの更新を狙っている訳でなくとも、海外のレースに出場する事は様々な面での経験値になります。
前者を目的とするレーサーは上級者が殆どだと思いますので、この記事では後者の「練習目的での海外遠征」に焦点を当てて、説明します。
海外遠征の詳細
練習目的での海外遠征では、行き方は主に二つの方法があります。
一つ目は自力で海外のスキー場へ赴き、航空券の購入から宿の手配、ポール練習の手配などを全て自分で行う手法です。
二つ目はレーシングチームが実施している遠征に参加する手法です。
詳細なスケジュール工程がガチガチに決められている事が多いですが、予約関係を責任者に任せることが出来るので、海外初心者にはこちらの方がやりやすいですね!
レーシングチームが主催する海外遠征の時期としては、チームにも依存しますが、主に夏と秋に開催される事が多いです。
夏は学生の夏休み期間に開催されるので、小学生~高校生の参加者が比較的多いですね!
一方秋は学生の授業期間に開催されるので、時間にゆとりがある大学生や学校を公欠して来る高校生が多い印象です!
秋の方が帰国後すぐに国内のシーズンが始まるので、海外遠征で得た良い感覚をそのまま引き継げるといったメリットがありますね。
海外遠征の国としては、夏はフランスやイタリアなどのヨーロッパや、ニュージーランドなどの南半球に赴いているレーシングチームが最近では多いですね。
一方秋は、同じくヨーロッパも候補としてありますが、アメリカや中国などに行くチームもあります。
中国に行く場合は、日本から近場である為、航空券が他と比べて安くなるといったメリットがありますね!
海外遠征のスキー場としては、大きくアウトドアのスキー場とインドア(室内)のスキー場の二つに分類されます。
アウトドアのスキー場は、海外の広大なスキー場を満喫することが出来ますが、海外のスキー場は強風などの悪天候でクローズしてしまう事が多いので、リスクが伴います。
一方インドアのスキー場は、毎日同じ環境下(斜度、雪質、室温)で練習する事が出来るので、反復練習には最適ですが、コースが全体的に小さいので、SLの練習に限られてしまう事などのデメリットが存在します。
参加するレーシングチームによって、海外遠征の国やスキー場は予め決まっている事が多いです!
海外遠征のメリットとデメリット
次にオフシーズン中に海外遠征に赴く事の主要なメリットとデメリットについて説明します!
海外遠征のメリット
やはり多くの人は自身の技術を向上させる為に海外遠征に行くと思います。
技術向上に直結するメリットとしては、以下が考えられます。
まず、当たり前ですが、オフシーズン中に恵まれた環境で滑る事が出来るのは基本的に国外だけなので、純粋に滑る量 / 滑走日数を増やす事が海外遠征に行く事によって出来ます。
滑れば滑るほど伸びる、アルペンスキーに慣れている段階の選手や先シーズン滑走日数が足りなくて不満を感じている人にとってはこのメリット自体が非常に大きいですね!
次に、各レーシングチームでは募集人数を予め決めている事が多いので、少人数制で一定期間アルペンスキーの練習を行うことが出来ます。
少人数制という事で、選手一人あたりが指導者(コーチ)とコミュニケーションを取る量はシーズン中の普段の練習より多い事が多いです!
指導者と密なコミュニケーションを取る事で、同じ一日の練習でも、より質の高い練習が出来るかもしれません!
また、国内のレースが開催される時期と離れた時期に雪上練習が出来る事により、ゆとりを持って練習に取り組める事があります。
シーズン中の場合、レースが近日中に行われるという事を意識してしまい、新しい技術に取り組む事に対して消極的になってしまう選手も存在します。
しかし、夏や秋のオフシーズンの場合、レースが開催されるのはまだ先なので、心にゆとりをもって練習する事が出来ますね!
また、新しい用具のセッティングをテストしたり、レースが迫ってきていないからこそ出来る練習時間の過ごし方も存在します!
海外遠征のデメリット
一方でオフシーズン中に海外遠征に赴くデメリットとしては、やはりコストと時間を奪われてしまう事です。
海外遠征には航空券代・交通代・宿代・リフト券代・ポール練習代など、様々な費用がかかります。
遠征内容や国に依存しますが、合計3週間の遠征で70万円~120万円程度の費用が相場でしょうか?
15日程度の練習で100万円というのは、国内で練習する基準と比べたら非常に高価です。
このような費用的コストをデメリットに感じる選手も多いですね。
また、海外遠征に行くにはまとまった時間が必要です。
レーシングチームの海外遠征は3~4週間程度のキャンプが多いと思いますが、この期間はスキー漬けになる事になります。
学生の場合、日本国内で夏を満喫する事は出来なくなりますし、社会人の場合、そもそも1か月弱のまとまった休みを取る事が出来ない職業の方が殆どだと思います。
中には開催時期の中で自由に行く期間を組むことが出来る場合もありますが、期間によらず往復でかかる航空券代は同じなので、少し損した気分になるかもしれませんね。
効果的な海外遠征をするポイントや注意点
海外でのスキーは様々な面で国内のスキーと異なる事が多いです。
いくつかポイントと注意点を書いたので、一例として読み進めて貰えると幸いです!
まず、海外遠征に行こうと思ったとしても、航空券など各種予約の都合上、既にレーシングチーム側の申し込みが終了している場合もあります。
自分の普段所属しているチームで海外に行く場合は、レーシングチーム側から直接案内を貰える事が多いですが、異なるチームで海外遠征に行きたい場合は自主的に情報を収集し、日程を管理しなければいけません。
夏の遠征に行きたい場合は、シーズンアウト直後から動き始める事が大事ですね!
どのチームが海外遠征を主催しているかはSNSやWebページを見る事で大体わかります!
次に、一般的な海外旅行の準備をする必要があります。
レーシングチームによっては、持ち物を事前にリスト化して教えてくれるチームもありますが、自分で一から荷物について考えないといけない場面も存在します。
いつも使っている電化製品のアダプターや現地の硬貨などの準備が必要となってきます。
海外に行き慣れている人の場合は大丈夫かもしれませんが、行き慣れていない場合は海外遠征経験者に荷物の相談をしてみるのが良いかも知れませんね!
また、慣れない地でのトレーニングとなるので、自分なりの休息ルーティーンを確立する必要があります。
ヨーロッパの非常に標高が高いスキー場でトレーニングを行う場合、滑ること自体が高地トレーニングとなります。
いつも以上に疲弊したり、高山病に陥る事もあるかもしれません。
練習後に現地の宿舎でしっかり休息を取る事が翌日の練習パフォーマンスに影響してきます。
また、チームでオフ日が設定されている場合もありますが、自主的にオフを取る場合は、悪天候の日などに積極的にオフを取る事で翌日以降のトレーニング効率が上がるかもしれませんね!
結局海外遠征に行く必要ある?
結局海外遠征に行く必要はあるのでしょうか?
それは一人一人の状況に応じて変わるので、一概には言えないといったつまらない結論になってしまうの、ここではいくつかの考え方の例を元に説明していきます。
よく散見されるのが、海外に行く事によって必ず大きく上達すると信じている人ですね。
勿論中にはきっかけを掴んで、大きく上達する人がいる事も事実です。
しかし、日本で練習しても伸び悩んでいる人が、全く同じ条件下で海外で練習をしたとしでも、同じ結果に陥る事は自明でしょう。
自らアクションを起こし、昨シーズンの自分とは異なる行動を取る事が、海外遠征での上達に必要かもしれませんね。
また、もし滑走日数の増加を目的として海外遠征に行きたいと思う人の中で、シーズン中に国内でもっと滑走日数を増やせる場合は、勿体ないかもしれません。
日本で練習するより、一日当たりの練習コストはやはり大幅に上がってしまうからですね。
また、海外に赴く事でお金に制限が出来、来シーズン中の滑走日数が減ってしまったりすると本末転倒かもしれません。
あくまで海外遠征は+αで、国内のシーズンを最優先に取り組んだ方がコスパは良いかも知れませんね。
とはいえ、やはり同じ一日の滑走日数でも、練習の質は海外遠征に行く方が高い事が多いです。
レーシングチームの中でも向上心の高い選手が海外遠征に行く事が多いので、身内で精神的に高めあう事が出来るかも知れません。
また、他国のナショナルチームの近くで練習する事もあるので、視覚的にも非常に参考になる事があります。
多額の費用がかかっているという一種のプレッシャーが上手く上達に作用する事もありますね。
私自身も海外遠征を機に、アルペンスキーに対する意識の持ち様が大きく変わりました。
更に、海外遠征に行く事は、純粋に思い出として記憶に残るという事があると思います。
いつもと違う環境下でスキーをするという事だけで価値を感じる人がいるかも知れませんね!
特にアウトドアのスキー場で練習する場合、日本では味わう事が出来ないスケールの景色に圧倒される経験を得られる事もあるでしょう!
このように、コストや時間的拘束などのデメリットを自分なりの価値やメリットが上回る場合は、海外遠征に行く事を検討してみても良いですね!
まとめ:海外遠征も視野に入れてアルペンスキーを楽しもう!
いかがだったでしょうか?
本記事では、アルペンスキーにおける海外遠征について簡単に説明してみました。
最後に、内容をおさらいしていきましょう。
- 海外遠征には主にレースに出場する為と練習する為の二つの目的がある
- ゆとりを持って練習できるが、多大なコストがかかる
- シーズンアウトの直後から海外遠征の準備をするべき
- メリットがデメリットを上回るなら、海外遠征を検討
海外遠征に行く事は、アルペンスキー人生において一生の思い出になる事間違いないので、是非海外遠征に行く事を視野に入れてみてください!