【注意点】
マインドセット編では、具体的な技術論には触れておりません。
アルペンスキーでは、タイムという定量的かつ絶対的な基準が存在するため、滑りの「型」に統一された正解はないと考えています。
その為、「あらゆる技術論の指導」のもとで応用できる知識や考え方を出来る限り客観的に解説する事をこの記事では重視しています。
アルペンスキーを始めたけど、初めての雪上練習が不安でしょうがない!
インスペクションやコース整備って何?
事前に何を準備すべき?
以上のような、お悩みを解決します
本記事の内容
- 滑る前の準備について
- 練習の一日の流れについて
- 大会の一日の流れについて
- 初心者が陥りがちなミスについて
スキー場で滑る為の事前準備
アルペンスキーを始めたての皆さん!
皆さんの中には、アルペンスキーの練習や大会(レース)にまだ参加されたことない方がいるかも知れません。
所属団体やレーシングチームによっても多少左右されますが、アルペンスキーヤーの雪上でのルーティーンは大きく3パターンに分けられます。
普段の練習としては、ポールを用いない「フリースキー練習」とポールの中を滑る「ポール練習」に分類されます。
一方、実際に競技力を発揮する「大会(レース)」の日はルーティーンが大きく異なります。
いきなり雪上に放り出されると困惑する事も多いですが、この3つのパターンを把握しておくことで、スムーズな競技ライフを送る事が出来ます!
この記事では、初めての雪上を経験する人に向けて、事前に知っておきたい情報や一日の流れについて解説します!
練習日の流れを紹介!
共通の流れ
まず、初心者の方がアルペンスキーの練習をするには、スキー部やスキーサークルなどの所属団体における練習に参加するか、レーシングチームの練習に参加するかの二択が一般的です。
レーシングチームの練習に参加する場合は、当日いきなり現れて練習する事が出来るチームもあれば、事前に予約や相談が必要なチームもあります。
もし知り合いがそのチームにいる場合、参加希望の旨を直接知人に相談してみる事が望ましいですね!
他の選手を経由せず参加する場合は、SNS (Instagram)やホームページを通して、チームの代表者に事前に連絡してみると安心です。
その際に持ち物や集合時間・場所について聞く事を忘れずにしましょう!
では、一日の流れを見てみましょう。
当日に現地入りする場合もありますが、多くの場合は、練習の前日に宿に宿泊する事が多いと思います。
この宿はレーシングチームが代理で宿泊管理を担当している宿の場合もあれば、自身が一から手配した宿の場合もあります。
レーシングチームが指定している宿があれば、そちらに泊まる事で他の選手と交流出来たりしますね!
まず朝は起床し、洗顔や食事などの朝の準備をするところから始めます。
食事の時点で既に滑る格好で食堂に行くべき場合もあれば、練習開始時間までゆとりがあり、私服で参加する場合もあります。
その後、滑走用具をスキーバッグに詰めるなどの準備をし、スキー場へ向かいます。
スキー場内や徒歩圏内の宿である場合、一人でも簡単にゲレンデに行く事が出来ますが、そうでない場合は事前に交通手段を確保しておく必要があります。
レーシングチーム指定の宿の場合、選手間や指導者と一緒に複数人で車に乗り合わせていく事もありますね!
スキー場に到着したら、リフト券を購入したり、ブーツを履いたりなどの滑走準備をします。
スキー場のレストハウスなどを準備に使える所が多いですが、準備が終わった後スキーバッグをどうするかには注意が必要です。
どこか保管できる場所がスキー場の中に存在する場合もあれば、雪上に持っていく事が出来る場合もあります。
不安であれば、同じチームの方に直接聞いてみましょう。
滑走準備が出来たら、いよいよ雪上です。
チームの集合時間より前に準備が完了した場合は、一人でリフトに乗り、何本分かウォームアップをする事も手ですね!
集合時間になりましたら、集合場所に行き、チームの練習開始です。
ここから先はフリースキー練習とポール練習で大きく異なるので、後ほどそれぞれ解説します。
練習が終わったら、宿に戻ります。
夕食を食べたり、温泉に入ったり、学業や仕事に励んだりなど、各々自由に過ごす事が多いです。
慣れてきたら翌日の練習に向けて、板のチューンアップ(ワックス)を行ったり、コンディションを整える「コントレ」を行ったりする事もあります。
また、チーム指定の宿である場合、指導者からアドバイスをもらう「ビデオミーティング」がスキー場ではなく、宿に戻ってから実施される事もありますね。
自身の滑りの振り返りを行い、ゆっくり睡眠を取る事で翌日も良い練習をしましょう!
フリースキー練習
レーシングチームでその日開催される練習が「フリースキー練習」の場合、比較的簡単な工程で練習が進みます。
指導者(コーチ)が滑るバーン(斜面)を指定し、そこをひたすら滑るという練習が行われます。
時には滑るバーンが練習中に変わったり、普通に滑るだけでなく低速で滑る低速練習が行われる事もありますが、基本的には指導者や他の選手についていけば問題ありません。
途中でビデオ撮影をし、自身の滑っている感覚と実際表現されている滑りとの差異を確認する工程が行われる事もありますね。
練習が一日中行われる場合、途中にお昼休憩をはさむ事が一般的です。
ゲレンデのレストランで食事をするチームもあれば、チーム独自のスペースでお弁当などを食べる人もいますね。
このような工程を何時間か繰り返したら練習が終わります。
練習後に自主練として一人で勝手に滑る事が出来る場合もあれば、スキー場の営業時間ギリギリまでチームの練習を行う事で、自主練が出来ないような場合もあります。
ポール練習
一方で、開催されるのがポールを利用する「ポール練習」である場合、初めての人にはわかりにくい工程が多数あります。
フリースキー練習では、レジャースキーと同じようにウェアで滑る事が多いですが、ポール練習の場合はワンピースといった競技用のレーシングスーツを着用する事が一般的です。
また、フリースキーの場合でもウェアの下にワンピースを着たり、ポールの場合でも寒いときはワンピースの上にウェアを着たりする事もあります。
ポール練習では、当たり前ですがポールが必要なので、練習が始まったらポールの束を滑る斜面まで持っていく必要があります。
ポールは宿に保管されている場合もあれば、スキー場のリフトの小屋などに保管されている場合もあります。
ポールを斜面に立てる工程は「ポールセット」と呼ばれ、チーム全体で行う事が一般的です。
ポールの束を運ぶ人、束からポールを抜き出してドリルで開けた雪面の穴に指す人、立てたコース上を綺麗にする人(コース整備)など、様々な役割があります。
基本的にポールセットに慣れていない人はコース整備係をやる事が多く、ポールが設営された後に、コースを綺麗にならす事が求められます。
斜面のならし方は初心者の方には難しい事があるので、余裕があれば他の人に事前に聞いておきましょう!
ポールセットが終わったら、練習開始です。
ポールの中のコースを滑り降り、指導者からフィードバックを貰います。
フリースキー練習と同じように、口頭フィードバック以外にもビデオを撮影してもらえる事が多いですね!
ポール練習の場合、一回ポールセットをしたら終わりではなく、滑走する事により荒れたコース上を再度綺麗にする「コース整備」が適宜行われる事が多いです。
3回滑ったら、1回コース整備、もう3回滑ったらもう1回コース整備のような感じです。
ここで行われるコース整備は最初に行った斜面をならす行為と要領は同じであり、滑りやすい状態に斜面を復元する事が目的です。
最後にポール練習が終わったら、「撤収」といった作業があります。
この撤収もチーム全体で行う事が多く、ポールを雪面から引っこ抜いて集める人と、コース整備をする人に大きく分かれます。
撤収の際のコース整備は、外に出た雪をコースの中に埋めるといった作業なので、ポールセットの時とは逆の動作になります。
ポールセットの際はコース上から雪を外に出す事をするのに対し、撤収の際は外に押し出された雪をコース内に入れて斜面を復元するといった事です!
撤収は1日に1回のみ行うチームもあれば、頻繁に撤収してポールセットをするチームも存在します。
大会日の流れを紹介!
大会(レース)に参加するには、まず大会にエントリーする必要があります!
大会の種類としては、事前の公式な競技者登録が必要ない草レースから、競技者登録が必要な公認大会まで幅広く存在します。
初心者の方が最初にとっつきやすいのは、草レースになりますね!
工程が練習とは大きく異なるので、出来れば先輩など大会を経験している人と一緒に参加しましょう!
レースの情報はスキー場のサイトにあったり、SNSに掲載されていたりします。
各大会の要項を読む事で、実施会場や時間、種目などを知る事が出来ます。
これらのレースにエントリーし、所定の金額を運営に払う事で事前準備は完了です。
レース前日は宿でゆっくり休み、レース用のワックスを塗ったりする事で翌日の準備をします。
いつも練習時に泊まっている宿とは異なる事が多いので、時間に余裕を持つ事が大切になってきます。
レースによっては前日にTCM(チームキャプテンミーティング)がスキー場やオンラインで行われ、そこに参加する事で大会用のゼッケン(ビブ)を受け取る事もあります。
要項をしっかり読んで確認しましょう。
レース当日の流れは初めての方にはかなり複雑です。
まず、レースでは、ポールセットは大会運営が行います。
従って、ポールセットがされている時間に、フリースキーを各自行う事でウォームアップをする事が出来ます。
指定の時間になったら、選手全員が大会コースの上部に集まり、「インスペクション」と呼ばれる一回コースを視察する事が出来る時間になります。
レースで同じコースで滑れるのは1回切りであるので、このインスペクションが戦略を立てるのに非常に重要になってきます。
このインスペクション自体も1回切りであり、コースの上部から下部まで選手全員で横滑りをしながら下ります。
通常のスピードで滑り降り、模擬滑走をしてしまうと、その時点で失格となってしまう事があります。
インスペクション時にはゼッケンを着用する事が求められることが一般的なので、スキーバッグの中に入れっぱなしにしていると、インスペクションが出来ないといった事が発生します。
また、インスペクションの時間は厳格に設定されている事が多く、この時間に間に合わなければインスペクションをする機会を失います。
インスペクションが終わったら、大会が始まり、選手がゼッケンの番号の順番で各々滑り降ります。
自分の番の時にスタートできる状態ではなかった場合、失格となり、滑走の機会を失ってしまいます!
大会は様々な理由から遅延が多いので、慣れている選手でも、自分の番を正確に把握して動くことは困難です。
時間に余裕をもって、スタート地点に集まれるように動きましょう。
スタート地点に集まったら、板に大会用のスタートワックスを塗ったり、身体を動かしたりする事で改めてウォームアップをしたりします。
自分の順番が近づいてきたら、大会運営から出欠で呼ばれることがあるので、常に気を張っていないといけません。
精神を落ち着かせ、練習通りの滑りを出来るように各々が集中する事で、練習とはまた異なった雰囲気になる事が一般的です。
自分の順番になったら、スタートバーを切り、インスペクションで立てた戦略通りにコースを滑り降りましょう。
大会によっては、1本制ではなく、2本制のレースである場合があります。
この場合は、また違うポールセットが運営によって立てられ、そのセットでインスペクションからもう一度行います。
基本的には1本目と同じ流れで進みますが、2本目がある場合、2本目の滑走順は1本目のリザルトによって決定されることが多いです。
(リバース制など、1本目の成績を逆にして2本目の出走順を決めるといった方法を採用しているレースもあります)
1本目のリザルトと2本目のスタートリストがスキー場かインターネットに掲載されると思うので、それを元に2本目はどの順番で滑ればいいのかを確認しましょう!
大会が終わったら、最終リザルトの確認や、表彰式です。
草レースは順位によっては景品が存在する事も多いので、ぜひ上位入賞して景品を獲得しましょう!
初めてのシーズンで陥りがちなミスについて
この記事ではアルペンスキーヤーの初めての雪上にむけて、練習と大会の工程を説明してきました。
しかし、これらを全て理解していても、初めての雪上は不安であると思います。
ここでは、初心者がやりがちな代表的なミスについていくつか紹介します!
是非これらを事前に知って、対策しておきましょう!
まず、一つ目のミスとしては、スキー場ではぐれてしまう事です!
練習や大会で迷子になり、どのコースに行けば良いかわからなくなってしまう事は、慣れている場合でも発生します。
いつどこにいれば良いのか、という事をスキー場の地図と共に把握しておくことで、はぐれるリスクを減らす事が出来ますね!
二つ目のミスとしては、忘れ物をするという事です!
フリースキー練習とポール練習では必要な用具は異なりますし、大会の場合はさらに多くの荷物になります。
また、SLやGSなど競技種目によっても用具は異なります。
特に大会の場合、ゼッケンを着用していないとレース自体はおろか、インスペクションにも参加する事は出来ません。
ゼッケンはスキーバッグの中に放置するのではなく、常に肌身離さず持っていましょう!
三つ目のミスとしては、大会でインスペクションや自分の順番に間に合わないという事です!
これについては先ほども触れましたが、アルペンスキーの大会は非常にシビアなタイムスケジュールで動いている上に、遅延なども多々発生しますし、タイムスケジュールよりも早く自分の番が来ることもあります。
大会スケジュールが遅延や早まったりなど、たとえ自分が悪くなくとも、順番に間に合わなかったら滑走する事は出来ません。
また、想像以上にリフトの時間が長かったり、リフトが悪天候で途中で止まったりする事もあります。
スタート付近で待機する時間が長くなってしまいますが、大会慣れするまでは、早め早めで動くことが大事ですね。
まとめ: 工程を把握して余裕を持った一日を!
いかがだったでしょうか?
本記事では、アルペンスキーヤ―の雪上の一日について簡単に説明してみました。
最後に、内容をおさらいしていきましょう。
- アルペンスキーの練習はフリースキー練習とポール練習によって工程が大きく変わる
- 大会は独自の工程が多く、大会慣れが非常に重要となる
- 大会は非常にシビアなタイムスケジュールで動く
- ゼッケンを忘れたらレースに出場する事は出来ない
一日の工程を正しく理解した上で、雪上慣れする事でアルペンスキーをもっと楽しみましょう!