・第45回全日本国公立大学スキー選手権大会(全国公)
2025/3/4 SL bib6
- 1st 2位
- 2nd 1位
- total 1位

全国公は全国の国公立大学が集まる大会で、岩岳ほどレベル感が高いわけではありませんでしたが、自分にとっては絶対に勝たなければならないレースでした。
しかも開催地は自分のホームゲレンデである白馬さのさかスキー場。
勝って当然、勝たなければならない、そう思っていました。
ただ、横浜国大のルーキー稲葉選手や、去年の全国公GSで0.08秒差で負けた信州大学の堀江陸選手も出場するということで、決して油断できない戦いでもありました。
インカレが終わった後も白馬にこもって練習していた自分としては、FISで勝っていくために、現時点で自分より強い相手に勝っておきたい、そう強く思っていました。
特にSLには自信がありました。
一本目、スタート前から気合が入りすぎて自然と声が出てしまいました。
滑っている感覚は悪くなく、ゴールした時も「そこそこ良かったのかな」と思っていました。
でも、そのあと滑ってきた堀江選手のタイムを見た瞬間、悔しさがこみ上げてきました。
なんと0.86秒も差をつけられていました。
一瞬、絶望に近い感情が湧きましたが、すぐに「このままじゃ終われない」と気持ちを切り替えました。
アルペンは二本揃えてなんぼの競技です。
絶対に2本目で0.86秒以上の差をつけて逆転してやると心に決めました。
一本目が終わった直後、JSCのRyoさんが自分と堀江選手の滑りの動画をアップしてくれて、それを見て滑りの差を分析しました。
自分は気合が入りすぎて、板の反発を上に逃がしてしまっていました。
いわゆる「上手に」滑ってはいたけど、「速く」はなかった。
そこで意識を改め、板の反発を上に逃がさないこと、切り返しで板を浮かせずにトップをねじり込ませていくことを徹底することに決め、すぐにフリー滑走で感覚を確かめました。
二本目は、誰よりもフリーをしてから臨みました。
気持ちも技術も一本目とはまるで違い、自分の出せる最高の滑りをぶつけることができました。
30リバースだったので、自分がゴールしてすぐに堀江選手が降りてきました。
タイム表示までの数秒がものすごく長く感じたけど、結果は——1.26秒差で二本目1位。合計で0.40秒差をひっくり返しての逆転優勝でした。

喜びのあまり、思わず大声を出してしまいました。
あの瞬間は、これまでのスキー人生で一番気持ち良かった瞬間だったかもしれません。
このレースで、ようやくSLで目立つ結果を出すことができ、自信を取り戻すことができました。
正直、すごく嬉しかった。
でも、満足してはいけない。
本番は岩岳。
ここで気を抜いたらまた同じことの繰り返しになる。そう自分に言い聞かせました。
…とはいえ、心の整理は簡単ではありませんでした。
実は、3月2日に地元の友人から電話があって、中学のとき同じスキー部だった仲の良い後輩が亡くなったという知らせを聞きました。
彼はジャンプ競技をやっていたのですが、スキーを通してのつながりがあっただけに、精神的なダメージはかなり大きかったです。
何とかSLは頑張れましたが、優勝の喜びと喪失の悲しみが混ざり合って、正直、気持ちが切れそうにもなっていました。
でも、自分は競技者。
一つ一つの大会に集中しなければならないという思いもあり、心の中で強く葛藤していました