【注意点】
マインドセット編では、具体的な技術論には触れておりません。
アルペンスキーでは、タイムという定量的かつ絶対的な基準が存在するため、滑りの「型」に統一された正解はないと考えています。
その為、「あらゆる技術論の指導」のもとで応用できる知識や考え方を出来る限り客観的に解説する事をこの記事では重視しています。
スキー部に入ったけど、競技スキーについて右も左もわからない!
オフシーズンは具体的に何をすればいいの?
どこで練習をして、どんな大会に出るべきかわからない!
以上のような、お悩みを解決します
本記事の内容
- アルペンスキー(競技スキー)とは?
- レーシングチームとは?
- オフシーズンの準備について
- シーズンの過ごし方について
アルペンスキー (競技スキー) とは?
新しくスキーを始めようと思った皆さん。
スキーというスポーツと聞いて、どんな光景を思い浮かべてましたか?
滑りの美しさを競い合う基礎スキー(技術選)やスキーの板で雪上を走るクロスカントリー競技を想像したかもしれません。
近年オリンピックなどの舞台で日本選手が好成績を修めている、空中を飛ぶジャンプ競技やコブを滑るモーグル競技かもしれません。
しかし、実は本場ヨーロッパで一番人気なスキー競技は、スピード感が見どころのアルペン競技なのです!
この競技では、斜面に立てられた旗門を通過しながら、コースをいかに速く滑り降りるかを競います。
種目によっては時速100kmを越えるスピードが出る事もあり、0.01秒を争うシビアな競技となっています。
日本の部活動としても、実は一番競技人口が多いのがアルペン競技、アルペンスキーです!
そんなアルペンスキーを始める皆さんに向けて、アルペンスキーヤ―の一年目についてわかりやすく紹介していきます!
基礎知識①:アルペンスキーの種目
一年の流れを説明する前に、アルペンスキーに関する最低限の基礎知識のおさらいです!
既に知っているよ!
って方は読み飛ばして下さい!
まずは「アルペンスキーの種目」について!
アルペンスキーには主に4つの種目があり、それぞれルールが異なります!
種目に応じて旗門間隔が異なり、一般的に旗門間隔が広いダウンヒル(DH)とスーパージー(SG)を高速系種目、旗門間隔が狭いジャイアントスラローム(GS)とスラローム(SL)を技術系種目と呼びます。
高速系の種目は、選手が一気に長距離のコースを滑り降り、1回の滑走で最速タイムを競います。
一方で技術系の種目は、コンパクトなターンが要求され、レースは2回の合計タイムで勝敗を決めます。
日本では主に旗門間隔が狭い技術系種目、回転(SL)と大回転(GS)の大会が開催され、練習も主にこの二つの種目を行う事が多いです。
- ダウンヒル (DH)
- スーパーG (SG)
- ジャイアントスラローム (GS)
- スラローム (SL)
- 旗門間隔 (ターン弧)
- 標高差/コースの長さ
- 使用するスキーの長さ
- 滑走速度
- レースでの滑走本数
各種目についての詳しい解説は以下の記事から!
基礎知識②:レーシングチーム
もう一つの基礎知識としては「レーシングチーム」が挙げられます!
レーシングチームって何ぞや?
って思う人が大多数だと思いますが、アルペンスキーにおいては非常に重要な文化の一つです。
スポーツを行う団体としては部活やサークルが一般的ですよね?
この記事を読んでいる皆さんもスキー部やスキーサークルに入っているかもしれません。
しかし、アルペンスキーの練習を行う為には、スキー場のコースを貸し切った上でポールを張らないといけません!
コースを貸し切る為のお金やポール自体を購入し保有するお金は馬鹿になりません。
従って、各部活やサークル単体でアルペンスキーの練習を行うハードルはかなり高いです。
そこで、指導者(コーチ)を中心とした、アルペンスキーの練習を大人数で行う為に存在する団体がレーシングチームです。
基本的にレーシングチームは各個人が入会する形態を取っており、ベースとして活動しているスキー場がそれぞれ存在します。
学生のみ参加可能な場合など年代を絞っているレーシングチームもありますが、幼少期からシニア世代の選手まで全ての年代の選手が揃っている事も多く、異なる年代の人と切磋琢磨できる環境が特徴です!
独自でポール練習する事が出来ないスキー部やスキーサークルは、部やサークル全体としてある特定のレーシングチームに参加していることもあります。
営利団体なので、レーシングチームの練習に参加する事は勿論費用が発生しますが、部やサークルが独自に一から練習する費用と比べたら圧倒的に安価で済むことが多いです。
また、レーシングチームの練習に参加する際は、同時に指導者のコーチング(レッスン)を受けられる事が多いので、その点もメリットの一つですね!
一日の雪上練習(レッスン)ごとに費用が発生するレーシングチームもあれば、ある一定額の費用でシーズン中レッスンを受け放題となる方式のレーシングチームも存在します!
レーシングチームの多くはinstagramなどの各種SNSで発信しているので、気になる方は検索してフォローしてみましょう!
入部直後のオフシーズン!どんな準備がある?
では、本編に入っていきましょう!
多くの人は春に学校のスキー部やスキーサークル、会社のスキー部などに入る事でアルペンスキーヤーとしての第一歩を踏み出す事でしょう。
GWスキーや夏スキーという選択肢はあるものの、基本的にスキーシーズンは終わっており、オフシーズンという雪上を滑れない期間に入ります。
この記事を読んでいる貴方が学生でスキー部やスキーサークルに所属している場合、きっと友人たちからこんな質問が飛んでくると思います。
スキー部(サークル)って夏何してるの??
この質問に対する答えをここでは述べていこうと思います。
用具の購入(マテリアルの準備)
まず、思いつくのが用具の購入ですよね。
当たり前ですが、スキーは生身で行う訳ではなく、板やブーツ、ストックなど様々な用具を必要とする競技です!
アルペンスキーは普通のレジャースキーと比べて大変多くの用具を必要とします。
また、用具の数だけでなく、各用具の値段もレジャー用のものより数倍かかってしまうので、初期コストが非常に高いです。
従って、先輩の用具や部の用具を貸してもらえる文化が存在するスキー部(サークル)も存在します。
しかし、このような恵まれた機会が存在しない場合は、一から自分で用具を揃えないといけません!
用具の種類や購入方法、購入機会については他の記事で紹介しているので、ここでは詳しく触れませんが、良質な用具を揃えようと思うとキリがありません。
自分の用途にあった、必要不可欠の用具から購入する事をオススメします!
用具を購入する際は、自分一人で突っ走るのではなく、先輩やレーシングチームの指導者、スキーショップの店員さんなどに相談しましょう!
オフトレ(フィジカル向上)
夏にやる事としてマテリアルの購入以外に思い浮かべるのは、フィジカルトレーニングですね!
他のスポーツでも行う、筋トレなどがイメージしやすいかもしれません。
オフシーズンに行うトレーニング、オフトレは筋トレなどの筋力増強からインラインスケートやサマースキーなどの疑似スキートレーニングなど様々な分野のトレーニングがあります。
爽快感溢れる雪上での滑走と比べたら地味でつまらなく、楽しむことが出来ない人が多いと思いますが、オフトレは技術向上以外にも雪上での怪我防止の為の重要なプロセスとなっています。
学校のスキー部やスキーサークルに所属している場合、活動の一環として定期的にオフトレが開催されることが多いです。
また、レーシングチーム独自のオフトレに参加する事も選択肢としてあります。
レーシングチームにはトレーナーが付いている事も多く、その場合はより専門的で効果的なトレーニングを行う事が期待出来ますね!
選手の技術レベル、運動の癖、筋量、柔軟性、動作性に応じて、最適なオフトレは選手個人個人によって変わります。
従って、スキー部(サークル)のオフトレやレーシングチームのオフトレなどの全体練習に限らず、自主的に自分に必要なトレーニングを行う事も重要です!
ただ、一年目の場合、どのようなトレーニングがどのようにスキーに活きてくるのかの知識と理解が薄いと思うので、基本的には各種指導者に任せるのが良いと思います。
筋トレだけに終始するトレーニング法を実施している人を良く見かけますが、ボディビルダーがアルペンスキーで一番成績を残す訳ではないので、様々なトレーニングを混ぜる事が良いですね!
アルペンスキーを知る
他にオフシーズンのうちに出来る事と言えば、アルペンスキーを知る事です!
シーズンに入る前に競技のルールや滑走イメージを知っている場合と知らない場合だと、上達スピードに差が出てしまう事があります。
オフトレにしても、どのトレーニングが滑走中のどの動きに役立っているのかを知った上で行うオフトレと知らない上で行うオフトレだと、トレーニング効果に差が出る事は明白でしょう。
しかし、まだ雪上を経験していない、アルペンスキー1年生が最初のオフシーズンでこれを詳しく理解する事は非常に難しいです。
とはいえ、現代ではSNSやYouTubeなど様々な情報媒体が存在しますので、アルペンスキーのイメージを最低限付ける事は誰でも可能です。
余裕があれば、こちらも実施してみましょう!
① とある学生のスキー旅行記
競技スキーをテーマにした僕のYouTubeチャンネルです!
② J SPORTS
プロ選手のレースを視聴したい場合は、J SPORTSがおススメです!
ワールドカップなどの世界的なレースから、全日本選手権や全中などの国内レースまで配信しています!
視聴方法
- A) J SPORTS オンデマンド (スマホ・PC)
-
少しでも安く、好きなタイミングでレースを見たい方はJ SPORTSオンデマンドがオススメ!
スマートフォンなどから気軽に視聴できます! - B) J SPORTS (衛星放送・ケーブルTV)
-
テレビでレースを見たい方は、J SPORTSがオススメ!
スカパーを経由してお申し込みから約30分で視聴可能です!
シーズンの計画を立てる
秋に入り、シーズンが近づいてきたら、シーズンの大まかな計画を立てる事も重要です!
中高生のスキー部などでは、部として参加する大会(レース)や雪上練習のスケジュールが決まっている事が多いです。
しかし、大学生や社会人の場合、参加が求められる活動やレース以外では、シーズンのスケジュールを自主的に組む必要が出てきます。
また、中高生の場合でも、学校の部活動としての雪上活動は日数が限定的な場合もあるので、レーシングチームなどに赴き、自主的に雪上練習を積みたいと考えるかもしれません。
これはスキーヤーあるあるかもしれませんが、シーズンに入ったら直近の予定をこなしているうちにあっという間にシーズンアウトになっているという事もあります。
従って、シーズンに入る前に、いつどこでどのような雪上活動を行うかを、大枠でいいので決めておくと、より計画的なシーズンを過ごせるかもしれませんね!
遂に最初のシーズンイン!どう過ごす?
雪上に行ってみる
そんなこんなでオフシーズンを過ごしていたら、遂にスキーシーズン到来!
さて、ここで一つ質問です。
日本国内のスキーシーズンっていつ始まるか知っていますか?
スキーと言ったら多くの人は1月や2月をイメージすると思います。
俗に言う「ハイシーズン」です。
しかし、実はスキー場によっては10月からオープンしている事もあり、中には5月のGWまで営業しているスキー場もあります!
レーシングチームがベースとしているスキー場がオープンし、ポールを張った上での競技練習である「ポール練習」を実施できる期間はもう少し短い事が多いですが、オープンしているゲレンデを他の利用客と一緒に滑走する「フリースキー練習」は最速で10月から行えます!
規制されたコースを滑るポール練習だけでは、上達に不十分な事が多く、プロ選手でもフリースキー練習をシーズンインに取り組む事が多いです!
従って、11月あたりにまずは一回雪上に赴いてみる事をオススメします!
「今季滑り足りなかった」とシーズンアウトの時に後悔する人は居ても、「滑りすぎた」と後悔する人はあまり見ません。
そして多くのスキー部(サークル)では、年末年始あたりから団体の合宿などがあったりします。
団体の活動のみ参加するのではなく、レーシングチームに参加し追加で練習出来ると上達が早まりますね!
多くのレーシングチームでは12月ぐらいから4月ぐらいまで常設で毎日練習出来る環境を整えている事が多いです。
フリースキー練習とポール練習を共に行う事により、どんどんアルペンスキーを体験していきましょう!
レースに出てみる
アルペンスキー(ポール練習)に慣れてきたら、大会(レース)に出てみたくなるかもしれません。
慣れていない場合でも、所属団体の方針として、強制的に特定の大会に出させられるかもしれません笑。
初めてのレースは一生記憶に残り続けると思います。
勝負事である以上、競技を始めたての初心者が経験者に勝つことは至難の業ですが、現時点での自分の実力を最大限出せるよう精一杯滑りましょう!
事前に選手登録が必要な公認大会だけでなく、個人単位で気軽に出場できる草レースも存在するので、先輩や仲間と一緒に是非出場してみてください!
やっている競技は同じでも、雪上のポール練習とレースでは雰囲気は全く違う事が多いです。
また、2本制やインスペクションなどレース独自のルールも存在します。
練習ばかりして、レースになると練習通りの滑りが出来ない選手は非常に多いです。
レース経験を積む事も技術向上の一つの手段です!
シーズンアウト!来シーズンに向けての計画は?
雪上練習や大会に出場し、充実した1シーズン目を過ごしたら、そろそろシーズンアウトです。
4/5月まで練習する事は可能ですが、主要な大会は3月には終わっていると思います。
アルペンスキー1年生を終えた貴方は様々な感情を味わった事でしょう。
1年目にしては充分楽しめたと感じるかもしれませんし、もっと技術的に上手くなりたかったと悔しがるかもしれません。
オフシーズンに入ったら、シーズンの振り返りを行う事も大事です。
勿論技術的な振り返りも良いですが、このスキー場に行きたかった、このレースに出てみたかったなど、自分の欲求に素直になってみると良い振り返りが出来るかもしれませんね。
1年が終わると、自分が手に入れる事が出来る情報源とその量が大体わかってきます。
雪上練習でのビデオ撮影の頻度、日々の練習で指導者と取れるコミュニケーションの頻度と量、出場できるレースの数などですね。
これらの情報を元に、自分なりの上達方法や日々のルーティーンを確立させましょう!
上達に熱心な人の場合、シーズンアウトまで待たずに、1年目のシーズン中に自分のルーティーンを持つ人もいるかも知れませんね。
1シーズン滑った事により、2年目以降のオフシーズンは、スキーとリンクさせて過ごす事が出来ると思います。
どのようなトレーニングが滑走中のどんな動きに役立つのかをイメージしながら行いましょう。
上達に新しい用具が必要な場合、購入する事も良いですし、より緻密な来シーズンの計画を立てる事も出来ると思います。
もしかしたら新しいアルペンスキー1年生に自分の経験を共有する機会があるかもしれませんね。
どうしてもオフシーズン中に滑りたいとなった場合は、夏に海外遠征に行く事なども検討してみて良いかも知れませんね!
まとめ: 一年の流れを理解して、アルペンスキーを始めよう!
いかがだったでしょうか?
本記事では、アルペンスキー1年目の流れを簡単に追ってみました。
最後に、内容をおさらいしていきましょう。
- アルペンスキーは速さ(タイム)を競い合うスキー競技
- 最初のオフシーズンにやるべき事は用具の購入とオフトレ
- 出来るだけ早く、1回目の雪上デビューをしてみる事がオススメ
- 慣れてきたらレースに出てみよう
どうしても技術向上にばかり目が行く人が多いと思いますが、雪山生活を満喫する事を優先する事もアルペンスキーの一つの楽しみ方だと僕は思っています!
上達する事に一生懸命な人も、アルペンスキーを通して人生を豊かにしたい人も、是非本サイトを使ってアルペンスキーの知識を付けて楽しんでください!
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